破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「爽やかで美味しい……これはレモンね」

「はい。レモン汁とピールを混ぜてあります」

「この青いのはどうやって?」

 女王が不思議そうに、ブルーハワイで色付けした琥珀糖を手に取って光に透かす。

「これは、妖精がくれた魔法のシロップを混ぜました」

 現代日本から召喚してもらったと説明しても、すぐには理解してもらえないだろう。

 転生者だと知らない宰相もいるので、誤魔化したアーシェリアスに女王は小さく笑った。

「魔法、ね。やっぱり、あなた似ているわ」

 懐かしむように目を柔らかく細めた女王は、またひとつ琥珀糖を頬張った。

 初めて見た時よりも刺々しさが消えた女王を見て、アーシェリアスは嬉しくなる。

 琥珀糖を宰相とザックにも勧める女王。

 料理は人を笑顔にする。

 けれど、時に涙し、癒すこともできる。

 自分の料理とお菓子をきっかけに、女王とザックの関係がいいものになれば自分も幸せだ。

 目の前の光景を眺めながら、アーシェリアスは心から思っていた。







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