破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 アーシェリアスは苦笑するしかなく、けれどノアの明るい態度に救われてもいた。

(気まずくならないように振る舞ってくれてるのかも)

 ノアの気遣いに感謝し、アーシェリアスは小さく「ありがとう」と告げる。

「なんのこと?」と惚けたノアは「はー、ボクお腹すいちゃった。何か食べようよ」とアーシェリアスをサロンスペースへと導いた。

「朝からイメチェンに忙しくてご飯食べてないんだよね」

 声にしながらノアが眺めるのは、ブッフェ形式の食事だ。

 今夜の晩餐会は舞踏会がメインのため格式ばったものではなく、気軽な社交パーティーに近いもの。

 故に、食事もカジュアルなスタイルで提供されている。

「どれにしようかな。アーシェも食べる?」

「私はまだお腹空いてないから」

 というより、身体を締めるコルセットが少々きついので食べられそうにない。

 ノアは、バレット特製のサンドイッチを食べながら、「そうなの?」と次に食べたいものの目星を付けようと並ぶ料理を観察する。

「わ、なにこれチョー可愛い」

 目を輝かせてノアが手に取ったのは、カクテルグラスに盛りつけられた琥珀糖だ。
< 197 / 232 >

この作品をシェア

pagetop