破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 うまく場が治まり、女王が拍手を送った。

「これで、ファーレンの品位を落とす者がひとり排除されることでしょう。アイザック。事件解決、見事でした」

「ありがとうございます」

 ザックがお辞儀をすると、女王は「音楽を! 祝いましょう」と舞踏会の続きを促した。

 広間が祝いの明るいムードに包まれ、肩の荷が下りたと言うようにザックが息を吐く。

「ザック、ありがとう!」

「間に合って良かった。本当なら、こんな騒動になる前に片を付けるつもりだったんだ」

「もしかして、最近忙しそうにしてたのって……」

「君の運命を変えたいとかで、俺と騎士団をこき使ってたからだよ」

「兄上、人聞きの悪い言い方はやめてくれ」

 ジト目で兄を睨むザックを、アーシェリアスは感激して見つめた。

(私のために……)

 ずっと恐れていた破滅エンドの危機から守ってくれたのだ。

 感極まったアーシェリアスは、たまらずにザックに抱き付いた。

「ア、アーシェ?」

「本当にありがとう。大好きよ、ザック」

 回した腕に気持ちを込めてぎゅうっと力を入れると、ザックは照れながらも抱き締め返した。

 すると、ノアがぷうっと頬を膨らませて腕を組む。

「ちょっと、そういうの他所でやってくれる?」

 そんな彼を見て、ザックとエヴァンが首を傾げて声をハモらせた。

「……誰だ?」

「ノアだよ!」

 驚くザックとエヴァンが、見違えたなと頭や身体に触れて確認し褒める。
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