破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「こやま……りか……」
「覚えはありますか?」
メッセージと名前をジッと見つめる神様。
その瞳に、じわりじわりと涙が浮かんで、頬から零れ落ちた。
「な、何か記憶が戻りました⁉」
高揚して訊ねるも、神様はボロボロと泣きながら頭を振った。
「全然。だけど嬉しいんだ。嬉しい。でも、悲しい。それに……これは、恋しい?」
空っぽだった心が埋まっていくように、神様の瞳に感情が宿る。
(もしかしたら、リンカさんの前世、小山里香さんの存在が、神様の無くした記憶なのかもしれない)
病で死ぬ小山里香の運命を、神様は自らの大切な記憶と引き換えに変えた。
大切な人のために、大切な人の記憶を失ったのでは。
けれど、確信はないのであえて触れず、しかし自分の気持ちを伝えることにした。
「神様、私もリンカさん……里香さんと、同じ気持ちです。キャラを間違えて転生したけど、今、とても幸せだから。神様のおかげ。ありがとう」
心からお礼を伝えると、神様は腕で涙を拭って微笑む。
「それなら良かった。どうか、そなたのこれからの人生にも幸あらんことを」
──ありがとう。
最後に温かな声が聞こえると、神様は本を抱き締め姿を消した。
「……ん? え? 神様⁉ 本は⁉」
うっかり持っていかれてしまい、焦ったアーシェリアスはいつの間にかベッドで寝ているシーゾーを振り返る。
「シーゾー! 起きてシーゾー!」
「モフすびー」
一度眠ると起きないシーゾーは、アーシェリアスの声に答えることはなく。
「もう一回神様を呼んでえぇぇぇ!」
アーシェリアスの悲しい絶叫が響くだけだった。
「覚えはありますか?」
メッセージと名前をジッと見つめる神様。
その瞳に、じわりじわりと涙が浮かんで、頬から零れ落ちた。
「な、何か記憶が戻りました⁉」
高揚して訊ねるも、神様はボロボロと泣きながら頭を振った。
「全然。だけど嬉しいんだ。嬉しい。でも、悲しい。それに……これは、恋しい?」
空っぽだった心が埋まっていくように、神様の瞳に感情が宿る。
(もしかしたら、リンカさんの前世、小山里香さんの存在が、神様の無くした記憶なのかもしれない)
病で死ぬ小山里香の運命を、神様は自らの大切な記憶と引き換えに変えた。
大切な人のために、大切な人の記憶を失ったのでは。
けれど、確信はないのであえて触れず、しかし自分の気持ちを伝えることにした。
「神様、私もリンカさん……里香さんと、同じ気持ちです。キャラを間違えて転生したけど、今、とても幸せだから。神様のおかげ。ありがとう」
心からお礼を伝えると、神様は腕で涙を拭って微笑む。
「それなら良かった。どうか、そなたのこれからの人生にも幸あらんことを」
──ありがとう。
最後に温かな声が聞こえると、神様は本を抱き締め姿を消した。
「……ん? え? 神様⁉ 本は⁉」
うっかり持っていかれてしまい、焦ったアーシェリアスはいつの間にかベッドで寝ているシーゾーを振り返る。
「シーゾー! 起きてシーゾー!」
「モフすびー」
一度眠ると起きないシーゾーは、アーシェリアスの声に答えることはなく。
「もう一回神様を呼んでえぇぇぇ!」
アーシェリアスの悲しい絶叫が響くだけだった。