破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「ザック! お疲れ様」

「すまない、会議が長引いた」

 愛しい相手に見せる柔らかい笑みをアーシェリアス向けるザックに、ノアは溜息を吐く。

「揃ったってことで、天気もいいし中庭でどう?」

「素敵ね! 今日は暖かいからシーゾーもひなたぽっこしてるはずよ」

 そうして一行は近況報告をしつつ中庭に向かった。

 噴水を眺められるガゼボのベンチには、気持ちよさそうにクッションで眠るシーゾーがいる。

「これシーゾー用?」

 籠に敷かれたふかふかで上等な生地のクッションを見て、ノアが首を傾げた。

「そうなの。先日陛下が特注してくださって」

「陛下ってモフモフ好きなの?」

「貴重な妖精だから丁重に扱うって仰ってたけど」

 シーゾーが、転生前の世界にある調味料を召喚することができると女王に明かしたのはいつだったか。

 以来、シーゾーには最高のおもてなしをと色々と尽くしてくれている。

「モフー……」

「おはよ、シーゾー。ちょうどご飯の時間よ」

 アーシェリアスは微笑むと、丸いテーブルにバスケットを置いて蓋を開けた。
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