破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 実は今日は、昼食を共に摂る約束をしていたのだ。

 結婚式を控えた今、ノアとエヴァンが騎士の職務遠征から返って来る日くらいしか、皆でゆっくりできないだろうからと。

「きんぴらライスバーガーと、おにぎりに唐揚げ。それからおやき!」

 その他にもおかずを詰め合わせたランチセットを並べる。

 これらはどれも、三人のリクエストに応えて用意したものだ。

「エヴァンさんにはマンゴー大福もありますよ」

「くぅっ! ありがたい! さっそくいただこう」

「えっ、それ食後のデザート用ですよ!」

「細かいことは気にするな」

 そう言って、エヴァンは大福を頬張った。

「ナイスマンゴーだ! さすがマンゴーレディだな!」

「まだそのあだ名で呼びます?」

 思わず突っ込むアーシェリアスの向かいに座るノアが、きんぴらライスバーガーを食べてとろけるような笑みを浮かべる。

「ん~! これこれ。思い出の味~」

 あむりとライスバーガーに食らいつくノアの隣に座るエヴァンが「そういえばあれの調子はどうなんだ」とアーシェに問いかけた。

「あれって?」

「レシピ本の執筆だ」

「んー、順調だと思います。でも、ゴールが見えないのでなんとも」

 レシピをどこまで書けばいいのか。

 日本で食べていた料理は和、洋、中だけでなくたくさんあるのだ。

「てかさ、それって書いてどうするの?」

「リンカさんみたいに遺せたらいいなと思って」
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