破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 リンカがシャーリーンに教えたように、アーシェリアスも厨房で働きながらシェフたちに前世の料理を伝授している。

 だが、いつかどこかで途絶えてしまうかもしれない。

 せめて、自分の子供や孫、さらにその後にも受け継いでもらえるには本にして残すのが一番だ。

「それにしても、幻の料理は結局見つからずじまいだな」

 おにぎりを齧るエヴァンの言葉にアーシェリアスは頷く。

「そうですね。でも、あの本に書いてあったのが答えなのかなって思います」

 隣でおやきを食べるザックが瞬いた。

「リンカさんのメッセージにあったってやつか?」

「うん」


『君の料理は食べた人を、僕を幸せにしてくれる。それが彼の口癖で、私の歓びです』


「愛情たっぷりの料理は人の心を満たす。食べた人を幸せにするってことよね」

 リンカは、子供や孫にもそんな風に伝えるつもりで話していたのかもしれない。

「だとしたら、ボクたちはもう幸せをたっぷり貰ってるわけだね」

「そうだな。アーシェの料理は間違いなく心を豊かにしてくれる」

「ふたりとも……!」

 ノアとエヴァンの言葉に感激したと同時。

「あー、いたいた! 兄貴!」

「ジェイミーか。どうした」

 エヴァンの弟で最近正式に騎士となったジェイミーがやってきた。
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