破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「遠征の報告が上がってないってアルバートさんが怒ってるぞ!」

「おっと、そうだった」

「アーシェに早く会いたくて、すっかり忘れてた」

「仕方ない、行くぞノア」

 エヴァンは立ち上がると、おにぎりをひとつ手にする。

「これ、もらっていくぞ」

「ボクも! ごちそうさまアーシェ」

「うん、お粗末様でした」

「アイザック様、失礼します」

「ああ、またな」

 ジェイミーがザックにお辞儀し、ノアとエヴァンと共に中庭から去っていく。

 アーシェリアスは、少し寂しい気持ちになりながら、おにぎりを黙々と食べるシーゾーを優しい眼差しで見つめた。

 隣のザックは、三つ目のおやきをそろそろ食べ終える。

「美味しい?」

「ああ、いつも通り美味い」

「飽きないよね、おやき」

 味のバリエーションはいくつかあるが、定期的に作っているにも関わらず、ザックはいつもよく食べる。

「俺は一途だってよく知ってるだろ」

 アーシェリアスをずっと想ってきたと言いたいのだろう。

 確かに、そう言われると納得だ。

 何せ、結婚に関してもそうだった。
< 217 / 232 >

この作品をシェア

pagetop