破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
『俺はアーシェ以外の女性と結婚はしない』

 半年前、女王よりネレーゲン公国の姫との縁談話が持ち上がった際、落ち込むアーシェリアスにザックはきっぱりと言い切った。

『叶わないのなら、王子オプションなんて捨てる』

 真剣な顔で告げられ、アーシェリアスもザックと一生涯寄り添いたいと願ったのだ。

 すると、女王はすんなりとザックとアーシェリアスの結婚を許可した。

 ネレーゲンの姫に比べたら身分は劣るも、アーシェリアスは伯爵令嬢だ。

 加えて、アーシェリアスが王都に来てから城内の雰囲気が和やかになった。

 国益にはならずとも、人々の心と腹を満たす存在は貴重。

 何より、シャーリーンの分も幸せになってもらわねば、きっとまた後悔すると言って。


「ちなみにさっきの話だが、俺は少し違う」

「幸せの話?」

「ああ。アーシェの料理は確かに人を幸せにしてる。でも俺は、アーシェが作ってくれるから幸せなんだ」

 他の誰かがどれだけ愛情を込めてもきっと、心から幸福に満たされることはない。

 愛する者の料理だからこそ、たまらなく幸せなのだ。
< 218 / 232 >

この作品をシェア

pagetop