破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「あ、あの、私たちそろそろ行かないと」

「どこへ行くんだ?」

 早くふたりから離れたいアーシェリアスを、アルバートの質問が縛り付ける。

「料理コンテストの買い出しだよ」

 ノアが答えると、ミアが「そうなのね」と微笑んだ。

「もしかして、その為にエスディオに来たんですか?」

 探られているのではないか。

 アーシェリアスが不安を覚える中、ザックが口を開く。

「旅の目的は別にあ──」

「あー、ほら! みんな! 時間が足りなくなっちゃうから」

 言葉を遮るようにして急かしたアーシェリアスは、ノアとエヴァンの背を押してからザックの腕を引いた。

「おい、アーシェ」

「ザック、お願いだから」

(これ以上情報を与えて付きまとわれても困る!)

 ここにいたくないのと目で訴え小さく首を横に振る。

 そんなアーシェリアスの様子に、ザックはちらりとミアを見て「ああ、そうか」と何かを思い出したように口にした。

「わかった、急ぐぞ」

「ありがとうザック!」

「じゃあな、アルバート」

「は、お気をつけて」

 そうして、ようやくミアとアルバートから離れることができたアーシェリアスは安堵の息を吐き、決して振り返ることなく歩いた。





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