破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「我は死なないけど」

「死にます! 高校の先輩が冬の海にふざけて飛び込んで死にかけた話も知ってます!」

「ああ、そうか。人の子は寒いのはダメなのか」

 丈夫な神とは違い、人は寒すぎると心臓が止まってしまうとかなり昔に学んだ。

「我は神だから心配ないんだ」

「……はい? かみ……さま?」

 にっこりと笑みを浮かべて頷くと、なぜか少女は「へ、へぇ」と頬を引きつらせる。

「な、なるほど、わかりました。でも、神様でも冬の海は危険なので入るのはやめてください。それじゃ、私は予定があるのでこれで」

 早口で忠告した少女は、ぺこりと頭を下げて踵を返す。

 プリーツスカートを揺らしながらすたすたと歩く後ろ姿を見ながら、ハクジュは首を傾げた。

「平気なんだけどな」

 とはいえ、ここでまた誰かに見られたら騒ぎになるかもしれない。

 問題を起こすと父がうるさいので海を満喫するのはまた別の機会にし、さて次はどうしようかと考えながらなんとなく少女の背を追ってしばらく歩く。
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