破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 やがて、ハクジュの気配に気づいた少女が足を止めて振り返った。

「あ、あの」

「ん?」

「あなたもこっちなんですか?」

「いいや、ただそなたについていってる」

「やだっ、ストーカー!?」

 ひぃっと顔を青ざめさせて少女は後ずさった。

 ハクジュはこてんと首を傾げる。

「スト……? ってなに?」

「あなたみたいな人のことです!」

「違うよ、我は神」

「あー、はいはい、そうでしたね。なんて悠長に話してる場合じゃないわ! 相手してたら予約の時間過ぎちゃう」

 もうついて来ないでくださいねと念を押し、踵を返した少女にハクジュはまだついていく。

「予約?」

「はい、病院で診察があるんです。って、私ってばなんで説明を。しかもついてくるし!」

「急いでるなら我がばびゅんと連れて行ってあげようか」

「ば、ばびゅん?」

 ハクジュは頷くと、ジャケットの内ポケットからスマホを取り出した。

「目的地の名前は?」

「べりいず総合病院です、けど」

「ふむふむ……よし、登録完了。はい、手を貸して」

 スマホで神アプリを操作したハクジュは、少女に手を差し伸べる。

 少女は反射的にといった様子で手を重ねると、その直後、景色がぐにゃりと曲がり。

「えっ⁉ な、なにっ⁉」

 五秒と経たぬ間に、少女の目的地である病院前に到着した。
< 224 / 232 >

この作品をシェア

pagetop