破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 ──そして、冬。

 雪の降る夜。

 ハクジュは、理香の命の灯火が消えゆこうとしているのを見守っていた。

 苦しそうに呼吸を繰り返す理香を見ていると、胸の内が締め付けられて苦しい。

「コヤマリカ、そなたのやり残したことはもうないか?」

「あります、よ……たくさん……。調理師になりたいし、恋だってしたい」

「恋……恋とは、どんなものだ?」

「神様、恋したことがないんですか?」

 こくんと頷くと、里香は弱々しい笑みを浮かべた。

「恋は……相手のことを考えると、胸の奥がきゅっと切なくなったり、あったかくなったり、気持ちが溢れて止まらなくなるんです」

「離れていると会いたくなるか?」

「なりますよ」

 尋ねたそれは、最近ハクジュが理香に対して感じているものだ。

 神界にいる時は理香のことばかり考えている。

 理香の笑顔が見たい、声が聞きたい……と。

「ああ、もっと生きたかったなぁ……」

 叶えてやりたい。

 そう思うのは、理香を大切に思うからか、生きてほしいと願うからか。


 ……きっとどちらもだ。

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