破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
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メイン通りへと向かって去っていくアーシェリアス一行を、ミアは笑みを貼り付けたまま見送る。
「ねぇ、アルバート様」
「なんだ?」
「ザック様は、もしかして王族なんですか?」
カリドで出会った時、ザックが腰に下げていた剣。
その柄には確かに、王族のみにしか剣に記すことを許されていないファーレンの紋章があった。
アイザックとも呼ばれていた。
十中八九、ザックが第四王子であるだろうことは予想済みだが、確信を得るためにミアは問いかける。
「それは……」
言い淀むアルバートに、ミアは心の中で舌打ちした。
しかし、その顔には天使のような笑みを浮かべたままだ。
「私はアルバート様の婚約者です。無知であることでアルバート様に恥をかかせることのないよう、教えて下さると助かります」
それらしき理由を口にして願うと、アルバートは「僕のことを考えてくれるか。さすがミアだ」と頷いてから声を潜める。
「実は、ザック様はファーレンの第四王子であらせられる」
やっぱり、とミアは胸の内だけで呟いた。
ファーレンの第四王子は第二王妃のひとり息子、アイザック王子。
第二王妃の子といえ、間違いなくアルバートより地位は高い。
そんな相手とアーシェリアスが親しそうに話しているのは、自分がアーシェリアスより下にいるのだと言われているようで気に入らない。
やはり、邪魔だ。
自分のまわりから退場願いたい。
(料理コンテストって言ってたわよね。アーシェのことだから参加する可能性が高い)
出場するなら、そこを狙うべきだろう。
「そうなんですね。教えてくださってありがとうございます」
気のない素振りでふんわりと微笑むミアは、先を歩き出したアルバートの背後で不敵な笑みを浮かべた。
メイン通りへと向かって去っていくアーシェリアス一行を、ミアは笑みを貼り付けたまま見送る。
「ねぇ、アルバート様」
「なんだ?」
「ザック様は、もしかして王族なんですか?」
カリドで出会った時、ザックが腰に下げていた剣。
その柄には確かに、王族のみにしか剣に記すことを許されていないファーレンの紋章があった。
アイザックとも呼ばれていた。
十中八九、ザックが第四王子であるだろうことは予想済みだが、確信を得るためにミアは問いかける。
「それは……」
言い淀むアルバートに、ミアは心の中で舌打ちした。
しかし、その顔には天使のような笑みを浮かべたままだ。
「私はアルバート様の婚約者です。無知であることでアルバート様に恥をかかせることのないよう、教えて下さると助かります」
それらしき理由を口にして願うと、アルバートは「僕のことを考えてくれるか。さすがミアだ」と頷いてから声を潜める。
「実は、ザック様はファーレンの第四王子であらせられる」
やっぱり、とミアは胸の内だけで呟いた。
ファーレンの第四王子は第二王妃のひとり息子、アイザック王子。
第二王妃の子といえ、間違いなくアルバートより地位は高い。
そんな相手とアーシェリアスが親しそうに話しているのは、自分がアーシェリアスより下にいるのだと言われているようで気に入らない。
やはり、邪魔だ。
自分のまわりから退場願いたい。
(料理コンテストって言ってたわよね。アーシェのことだから参加する可能性が高い)
出場するなら、そこを狙うべきだろう。
「そうなんですね。教えてくださってありがとうございます」
気のない素振りでふんわりと微笑むミアは、先を歩き出したアルバートの背後で不敵な笑みを浮かべた。