破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「ならば、我が手伝うよ」

「……え?」

「コヤマリカとしての運命はここで尽きる。だけど、その魂のまま、次の人生を生きればいい」

「そんなことができるの?」

 ハクジュはひとつ、しっかりと頷いた。

「そなたはどんな自分になりたい? どんな世界で生きたい?」

 問いかけると、里香は先ほどよりも生気の強まった瞳で天井を見つめる。

「次は……長く生きられる体で生まれたい。世界は……どこがいいかな……。あ、このゲームの世界とか」

 里香の手がゆっくりと持ち上がり、ベッドテーブルに置いてあるゲームを指差した。

 それは、里香が楽しみにしていた乙女ゲーム『ファーレンの乙女』。

「買ったのにプレイできてないんです。登場人物たちに会いたいな……。なんて……さすがにゲームは」

「わかった、ファーレンの乙女だね」

「で、きるの?」

「もちろん」

 にっこりと笑んだハクジュは神アプリを起動させる。

「そなたは我に楽しいことをたくさん教えてくれた。楽しい時間をくれたそなたに、我からの贈り物だ」

「凄く嬉しい……。ねぇ、神様も来れる?」

「我はどこにでも」

「じゃあ、会いに来てください。生まれ変わった世界でも、神様に会いたい」

 ハクジュは微笑むだけで約束はしなかった。

 なぜなら、それは恐らく叶えてあげられないから。
< 230 / 232 >

この作品をシェア

pagetop