破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「はいはい、どちらさまですか」

 扉が開き、優しい顔立ちをした中年の男性がアーシェリアスを見つめる。

「こちら、コスタさんのお宅でしょうか」

「ええ、私がコスタですが……」

「突然の訪問をお許しください。私、マレーアから旅をしているアーシェリアス・ルーヴと申します。彼は、ザック。先日カリドのゆらたま亭で、女将さんにお世話になった者です」

 コスタは、ゆらたまの女将の話が出て僅かに表情を緩めた。

「ああ、いとこの。彼女が何か?」

「実は私たち、幻の料理と呼ばれるものを探してるんですが、女将さんから、おばあ様が幻の料理を作り、おじい様を幸せにしたという話を伺ったんです」

「なるほど。それで、料理について手がかりを求めやってきた、ということですか」

 ニコニコと言い当てたコスタに、アーシェリアスは笑みを浮かべる。

 隣に立つザックが「何かご存知ですか?」と尋ねると、コスタは顎に手を添えた。

「どうだったかな……。まあ、ここで立ち話もなんです。中へどうぞ」

 友好的なコスタに安堵したふたりは、礼を述べてお邪魔する。
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