破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(ああ、久しぶりのプーアル茶……健康にもいいのよね)
渋みや苦みも感じられず、アーシェリアスはまろやかな味わいに舌鼓を打つ。
隣に座るザックも、「いただきます」と口にしてから、カップにそっと唇を寄せた。
「見た目よりも優しい味なんだな」
「確かに、色が濃いから苦いのかなって想像するわよね」
コーヒーよりも透きとおった味わいが気に入ったのか、ザックは続けてもうひと口飲んだ。
そんなふたりの向かいのソファーに腰を下ろしたコスタが切り出した。
「それで、幻の料理について、でしたね」
「はい、心当たりはありますか?」
アーシェリアスはカップをソーサーに戻し、背筋を伸ばす。
「特には……。ただ、祖母は不思議な料理を作るのが得意でした」
コスタの言葉に、ザックはちらりとアーシェリアスを見てから問う。
「不思議な料理とは?」
「私が覚えている限りでは、海藻や魚のエキスを使ったスープに野菜や肉を一緒に煮たものや、生魚を薄く切って米に乗せたもの、とかでしょうか」
聞いたアーシェリアスは目を見張った。
(え……それって、鍋料理とお寿司?)
日本では馴染みの料理が脳裏に浮かぶ間にも、コスタは話を続ける。
「ああ、そうそう。私が好きだったのはあれです。もちもちしたパンのようなものの中に味付けされた肉がみっちり詰まったやつです」
名前が思い出せないのか、どれも特徴のみ伝えるコスタ。
ザックはもちもちしたパンと中の具を想像し、自身の好物を思い出した。
「おやきか?」
「いえ、祖母は別の名前をつけていた気がします。もう忘れてしまいましたが」
残念ながらザックの予想は外れたが、アーシェリアスは違った。
これ、という食べ物が浮かんでおり、半信半疑といった様子でコスタに確認する。
渋みや苦みも感じられず、アーシェリアスはまろやかな味わいに舌鼓を打つ。
隣に座るザックも、「いただきます」と口にしてから、カップにそっと唇を寄せた。
「見た目よりも優しい味なんだな」
「確かに、色が濃いから苦いのかなって想像するわよね」
コーヒーよりも透きとおった味わいが気に入ったのか、ザックは続けてもうひと口飲んだ。
そんなふたりの向かいのソファーに腰を下ろしたコスタが切り出した。
「それで、幻の料理について、でしたね」
「はい、心当たりはありますか?」
アーシェリアスはカップをソーサーに戻し、背筋を伸ばす。
「特には……。ただ、祖母は不思議な料理を作るのが得意でした」
コスタの言葉に、ザックはちらりとアーシェリアスを見てから問う。
「不思議な料理とは?」
「私が覚えている限りでは、海藻や魚のエキスを使ったスープに野菜や肉を一緒に煮たものや、生魚を薄く切って米に乗せたもの、とかでしょうか」
聞いたアーシェリアスは目を見張った。
(え……それって、鍋料理とお寿司?)
日本では馴染みの料理が脳裏に浮かぶ間にも、コスタは話を続ける。
「ああ、そうそう。私が好きだったのはあれです。もちもちしたパンのようなものの中に味付けされた肉がみっちり詰まったやつです」
名前が思い出せないのか、どれも特徴のみ伝えるコスタ。
ザックはもちもちしたパンと中の具を想像し、自身の好物を思い出した。
「おやきか?」
「いえ、祖母は別の名前をつけていた気がします。もう忘れてしまいましたが」
残念ながらザックの予想は外れたが、アーシェリアスは違った。
これ、という食べ物が浮かんでおり、半信半疑といった様子でコスタに確認する。