破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「あの、もしかして、肉まん、というものでは?」

 アーシェリアスの言葉に、コスタはすっきりした顔を見せた。

「ああっ、それです! まさかご存知とは!」

 懐かしい響きなのだろう。

 コスタは「肉まんだ」と嬉しそうに何度も声に出した。

 その様子を見ながら、アーシェリアスはひとつの可能性を考える。

(もしかして、おばあ様も私と同じ転生者?)

 神様からは何も聞いていない。

 むしろ、ファレ乙についても初耳といった反応で聞いていたはずだ。

 では、別の神様が転生させたのか。

 推測するアーシェリアスの横で、ザックがコスタにおやきも美味いとオススメする。

 アーシェリアスも変わった料理を作るのだと語ったところで、コスタが「変わった料理といえば」と眉を上げた。

「この街で料理のコンテストがあるのは知ってますか?」

 聞かれたアーシェリアスは、転生者の可能性を一旦頭の片隅に追いやった。

「はい。実は参加する予定なんです」

「おお、そうですか。いえね、実はそのコンテスト、祖母の料理に感動した当時の領主が始めたものなんですよ」

「ええっ⁉ そうだったんですね!」

「自慢の祖母ですよ。ああ確か、祖母が若い頃から書き溜めたレシピ本もあったそうで、何十年も前に図書館へ寄贈したはずです」

 思い出したように告げられた事実に、アーシェルアスは前のめりになる。

「その本は今も図書館にあるんですか?」

「はい。そのはずですよ」

 コスタがはっきりと頷く。
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