破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「リンカ・イディアルさんの料理本のことかと存じます。こちらに、記されております」
館長がリスト帳を広げ、アーシェリアスとザックに見せた。
そこには確かに『領主の希望により寄贈』と書かれている。
どうやら一般には公開されない特別室にて管理されているようだ。
「あのっ、拝見させていただくことは可能でしょうか」
アーシェリアスが願うと、館長は「申し訳ありません」と眉を下げた。
「実は数年前、ここにある貴重な本がいくつか盗まれた事件がありまして……。その本も被害に遭い、未だ戻ってきておらぬのです」
「そんな……」
貴重な蔵書が並ぶ棚の前で、アーシェリアスは落胆し盛大に肩を落した。