破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 いくつかの記録書を手分けして探していると、エヴァンが「あったぞ」と声にした。

 皆がエヴァンの元に集まり、記録書に視線を落とす。

「犯人は捕まっていませんね。灰鷹の可能性あり、とは記されていますが」

 文章を指でなぞりながら話すエヴァンに、アーシェリアスが尋ねる。

「灰鷹って?」

「長年根城が判明していない盗賊団のことだ」

 エヴァンの説明によると、灰鷹はいくつも根城を持っているという噂で、捕まえても掴まえきれず手を焼いているらしい。

「実は先日、誘拐事件があったんですよ。もしかしたらそれも灰鷹の仕業じゃないかって、先輩たちが話してました」

 ジェイミーの情報に、アーシェリアスは眉を下げる。

「大きい組織で動いてる相手を追うのは危険よね……」

 魔物が相手であれば魔物の心が読めるノアもいるので、ある程度は危険度が低くなる。

 だが、人間相手に加え、組織が大きいとなると慎重にならなければいけない。

 ザックとエヴァンが強いのはここまでの旅で良く知っているが、相手の数が多いと危険だ。

 何より、ザックはファーレンの王子。

 下手に犯罪者を相手にして、万が一人質にでも取られたら国の一大事となってしまう。

 そう考えるのはアーシェリアスだけではなく、他のメンバーも一緒らしい。

「よく考える必要があるな」

 ザックが言って、皆は神妙な面持ちで頷いたのだった。





< 43 / 232 >

この作品をシェア

pagetop