破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(あとはミアとアルバートね)

 ジェイミーまで登場したとあっては、警戒を強めておいた方が良さそうだ。

 そう考えた時、ザックがアーシェリアスの顔を覗き込んだ。

「わ、な、何?」

 端整な顔がいきなり近づいて、アーシェリアスは肩を小さく寄せて少しだけ身体を引く。

「笑顔が硬いな」

「え? そ、そう?」

 言われて両手で頬を包んだ。

「何が不安だ? 大きな盗賊団を相手にするリスクについてか?」

「それも、あるんだけど」

 言い淀むアーシェリアスに、ザックは僅かに眉根を下げた。

「俺には話せないか?」

 悲し気な表情にアーシェリアスの胸が痛む。

 転生していることについては、カリドで少しだけザックに明かした。

 アーシェもオプション付きかと言って、受け入れてくれた。

 けれど、全てを話したわけではない。

 ここがゲームの世界で、自分が破滅フラグ回避のために奔走しているのはさすがに伝えにくい内容だからだ。

 黙ったままのアーシェリアス。

 ザックは俯くと一瞬だけ悔しそうに唇を噛んで、再びアーシェリアスを見つめた。

「俺は……アーシェに、頼ってほしいと思っている」

「ザック……」

 真剣な瞳を受け、アーシェリアスは瞳を揺らし、迷い……。

「また、ぶっ飛んだ話になるけど、いい?」

 打ち明けることを決心した。
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