破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

「ぶっ飛んだ……もしかして前世の話か？」

「うん。実は、まだ話してないことがあるの」

　弱々しい笑みを浮かべてしまうのは、これから話すことがゲームの内容に関するからだ。

　なるべくザックにショックを与えないように説明したいけれど、うまく話せるかどうか自信がない。

「その……私、本当は別の未来を辿る予定だったの」

「別の未来？」

　思い切り首を捻るザックに、アーシェリアスはそりゃそうよねと苦笑する。

「うん。簡潔に説明するとね、私は本来アルバートから婚約破棄されて国外追放される運命だったの」

「待て、なぜわかるんだ」

「なんて言えばいいのか……こう、これくらいの機械があってね。それでその結末……未来を見たことがあって」

　手で、ポータブルゲーム機のサイズを表して説明するも、ザックはしっくりときていないようで首を傾げたままだ。

「とにかく、その最悪の未来を回避するためにも、私はアルバートとの婚約を破棄したかったの」

　ザックは「未来がわかるのか」と驚きを隠せないままに質問する。

「その来なかった未来では、なぜアーシェが国外追放に？」

「それに関しては説明がすごく難しいしややこしいんだけどね、ほんっとに簡潔に話すと、ミアとアルバートが恋に落ちた結果、かしら」

「アルバートにとって邪魔になった、というわけか」

　邪魔となったというより、悪役令嬢アーシェリアスが嫉妬からミアをいじめ倒したため、アルバートの怒りを買った、というのが正解だ。

　そして、ないがしろにされたと激怒したアーシェリアスがミアを陥れよう画策。

　サイフリッド家の家宝に手を出し罪をなすり付けようとしたところ、まんまとバレて不敬罪という顛末だ。

（でも、アルバートはわざと盗ませたってオチだったし、邪魔だったのは間違ってないかも）

　そうしてアーシェリアスは、国外追放を言い渡されるイベントスチルを思い出し身震いする。