破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 エスディオの中心部に建つマーシー大修道院。

 その中には、ファーレン王国一といわれる広さと美しさを誇る図書館がある。

 蔵書数もかなりのもの。

 ここならば幻の料理についての文献が見つかるかもしれない。

 アーシェリアスはそう期待して、エスディオを訪れた……にも関わらず。


「ここまで来たのに収穫なしなんて……」

 結果は惨敗。

 幻の料理に関するような文献は見つからなかった。

「残念だね、アーシェ」

 ノアは、夜の大修道院を背にがっくりと落ち込むアーシェリアスの腕に手を添えて励ました。

「あんなベテラン職員でも覚えがないなら、やはり図書館に文献はない可能性が高いだろうな」

 かなり広い図書館だ。

 自分たちでは探しきれず、受付に座っていた、いかにも物知りそうなおじいさん職員に尋ねたのだが、長く働いているが見たことも聞いたこともないと話した。

「みんなにもついてきてもらってるのに、無駄足を踏ませてしまってごめんなさい」

 アーシェリアスが謝罪する横で、シーゾーが心配そうに眉を下げて見守る。

(落ち込んでいてはみんなに気を遣わせてしまう。ここは気持ちを切り替えて……)

 と、そこまで考えてアーシェリアスはあることを思い出した。

「そうだ……カリドの女将さん!」

「あ、そっか! 実家があるとか言ってたね!」

 ノアも思い出し、表情を明るくする。
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