破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(ひとりの予定……? ミアと乗ればふたりのはずなのに)

 眉を顰めるアーシェリアスの疑問を代弁するように、ぼさぼさ頭の男が「ああ?」と声を荒げた。

「じゃあなんだ? 人違いってことか?」

 不機嫌そうに眉根を寄せたぼさぼさ頭。

 スタッピーと呼ばれた男が「俺にもよくわかんねぇんです……」と困惑する。

「話にならねぇな。ターゲットの名は? そんくらい聞いてるだろ」

 イラついた声で確認するも、スタッピーはまだまごつきながら口を動かした。

「そ、それが……依頼人に『知る必要はないから、とにかく攫え』と言われまして」

「なんじゃそりゃ……。金は? 貰ったのか?」

「へぇ、それはたんまりと。あと、前金で高そうなルビーのネックレスももらいましたよ」

「ふん……ならいい。まあ三人とも見た目は合格だ。全員売っちまえばいい金になりそうだしな」

 ぼさぼさ頭の男は、腕を組みながら牢の中を見てニヤリと笑った。

「さすがお頭! そう言ってくれると思いましたよ!」

 怒られずに済み安堵したのか、笑顔になったスタッピー。

 どうやらぼさぼさ頭の男は頭領らしい。

 ふたりのやり取りを黙って見ていたノアが頬を膨らませる。

「ちょっと! 話しが見えないんだけど! 説明してくんない?」

 一体誰から依頼を受け、アーシェリアスたちはこの状況に陥れられたのか。

 ここはどこで、ふたりは誰で、これからどうなるのか。

 それはアーシェリアスも気になっていて、答えを聞き逃すまいと頭領を見た。
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