破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 頭領は「知りたいか?」と、片方の口角を意地悪そうに上げる。

「知りたいなら教えてやろう。まあ簡単に説明すると、お前ら三人をどこぞの男たちのおもちゃとして売るんだよ」

 その言葉を聞いたアーシェリアスの背筋に悪寒が走った。

 人を商品として扱い、売りさばいて収益を得る者たちといえば。

「あなたたちは……人買い、なの?」

 アーシェリアスが恐る恐る尋ねると、頭領はかっこつけるように口笛を吹いた。

「お嬢さん方は好奇心旺盛だな。そんなに知りたいか? 俺たちのことを」

「し、知りたいわ」

「よし、ならば教えてやろう。俺たちはただの人買いじゃない」

 べらべらと話す男はどうやら話したがりらしい。

 だが、小出しにするのが面倒でノアがイラッとする。

「じゃあなんなのさ」

「おおっと、本当に知りたがりだなぁ?」

 尋ねられる度に嬉しそうな態度を見せる男に、ノアとザックが呆れた眼差しを向けた。

「教えてやる義理はねぇが、どうせ売られたらまともに外にも出してもらえねぇ生活になるだろうしな。恨みが生きる糧になるのも一興。てことで教えてやろう!」

 早く言え、とザックが小声で突っ込んでアーシェリアスが苦笑いすると、頭領がついにその名を口にする。

「お前たちは、気高き盗賊団『灰鷹』から売られていくのさ」

「は、灰鷹⁉」

 囚われの三人は目を丸くし、声をハモらせた。
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