破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「キャベツ、たまねぎ、人参、ジャガイモ。これを人数分切ります。何人分作ればいいですか?」

「三十人分っスね」

「それで全員分ですか?」

「そうっス」

(なるほど。この根城には三十人いるということね)

 上手く情報を仕入れたアーシェリアスは、「三十」という数字を脳裏に刻む。

 そして、三十人分の野菜をなんとなく計算して用意し、ティコと共にひと口ほどの大きさにカットした。

 続けて、大きな鍋を火にかけ、溶かしたバターでみじん切りしたガーリックを炒める。

「うーっ、いい匂いっスね」

 食欲をそそる香りにスンスンと鼻を動かすティコ。

「ガーリックには健康になる成分が含まれてるんですよ。だから疲労回復にはうってつけなんです」

「へぇ~、なるほど」

「他にも、免疫力を高めたり、血圧のコントロールとか、あとは美容効果も得られるスーパーフードなの」

 説明しながら、アーシェリアスはたまねぎを炒め、透き通ってきたところで鹿肉とカットした残りの野菜を加える。

「ティコさん、トマトを細かく切ってもらっていいですか?」

「了解っス! あと、俺のことは呼び捨てで、敬語も取っ払っていいっスよ」

「ありがとう。それなら、私も気楽に話してくれると嬉しいわ」

「うっス!」

 ニカッと白い歯を見せて笑ったティコは、手早くトマトをカットする。
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