破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(みんな同じ食事に飽きていたから、こんなにトマトスープに喜んでいるのね)
他のテーブルで笑顔を見せながらスープを口に運ぶ灰鷹の者たちの姿に、アーシェリアスは口元を綻ばせる。
(相手が盗賊でも、自分の作った料理で笑顔になってくれるのは嬉しいかも)
料理は人を笑顔にしてくれる。
やはりいいものだと改めて思っていると、ティコが「あ、そうだ」と声にした。
「お頭、うちの戦利品に料理の本なんてないっスかね」
先ほどの約束通り、ティコが頭領に話を持ち掛ける。
(ティコ! さっそく聞いてくれるなんて、なんていい人なの)
この人柄で灰鷹にいるのはもったいない。
仕事が欲しいのなら、いっそ父のところで雇ってもらえないだろうか。
しかし、今はそれどころではないので、頭領の返事に期待する。
「料理~? なんでまたそんなもん。お前、このお嬢ちゃんに感化されて料理に目覚めたのか?」
「違うっスよ。あれば、料理好きなアーシェにお礼としてどうかなって思ったんス」
ダメっスか?と首を傾げるティコに、頭領はため息を吐いた。
「ティコ……お前、惚れたな?」
「ち、ちちちち違うっス!」
「ったく、ここは女っ気がないし、まあこの嬢ちゃんは別嬪さんだからしょうがねぇがな。こいつは売りものだ」
惚れても先はないから諦めろと言うような憐れんだ目で見られ、ティコは顔を真っ赤にする。
「だからそんなんじゃないっス! つか、売られちまうからこそ持たせてやってもいいんじゃないっスかね?」
「はぁ……わかったわかった。だが、料理関連の本はなかったはずだぜ」
「でも、戦利品リストには本が何冊かあったはずっスよ」
記憶を辿っているのか、何もない空を見ながら話すティコ。
他のテーブルで笑顔を見せながらスープを口に運ぶ灰鷹の者たちの姿に、アーシェリアスは口元を綻ばせる。
(相手が盗賊でも、自分の作った料理で笑顔になってくれるのは嬉しいかも)
料理は人を笑顔にしてくれる。
やはりいいものだと改めて思っていると、ティコが「あ、そうだ」と声にした。
「お頭、うちの戦利品に料理の本なんてないっスかね」
先ほどの約束通り、ティコが頭領に話を持ち掛ける。
(ティコ! さっそく聞いてくれるなんて、なんていい人なの)
この人柄で灰鷹にいるのはもったいない。
仕事が欲しいのなら、いっそ父のところで雇ってもらえないだろうか。
しかし、今はそれどころではないので、頭領の返事に期待する。
「料理~? なんでまたそんなもん。お前、このお嬢ちゃんに感化されて料理に目覚めたのか?」
「違うっスよ。あれば、料理好きなアーシェにお礼としてどうかなって思ったんス」
ダメっスか?と首を傾げるティコに、頭領はため息を吐いた。
「ティコ……お前、惚れたな?」
「ち、ちちちち違うっス!」
「ったく、ここは女っ気がないし、まあこの嬢ちゃんは別嬪さんだからしょうがねぇがな。こいつは売りものだ」
惚れても先はないから諦めろと言うような憐れんだ目で見られ、ティコは顔を真っ赤にする。
「だからそんなんじゃないっス! つか、売られちまうからこそ持たせてやってもいいんじゃないっスかね?」
「はぁ……わかったわかった。だが、料理関連の本はなかったはずだぜ」
「でも、戦利品リストには本が何冊かあったはずっスよ」
記憶を辿っているのか、何もない空を見ながら話すティコ。