破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
📕奔走! 戦闘! 料理本を求めて
「それで、何かわかったか?」
声を潜めて尋ねるザックがすするのは、アーシェリアスの作ったトマトスープだ。
『あいつらに食わせてやれ』
売りものの状態は良く保つべき。
そんな頭領の思惑もあり、ザックとノアもアーシェリアスの作ったスープを味わっている。
仕事を終えたため牢に戻されたアーシェリアスは、ザックとノアを見て小さく頷いた。
「ここにいる盗賊は三十人くらいなのと、肝心の本はここにはないって。もう売られてしまったらしいの」
「えーっ、どこの誰にっていうのはわかった?」
ノアもまた声を小さくし、途中で「あー、おいしー」と暇そうにしている見張りの耳を誤魔化しつつ会話する。
「名前は知らないって。だけど、特徴を教えてくれたわ」
アーシェリアスはちらりと見張りに視線をやり、こちらに気が向いてないのを確認してから再び口を開く。
「王立騎士を従えた、ツリ目で癖の強い巻き髪。歳は四十代くらいのモノクルをかけた男性だったって」
牢へ戻る前、頭領から聞いた情報のままに伝える。
するとザックがスプーンを口に運ぶ手を止めた。
「……ひとり、思い当たる人物がいる」
アーシェリアスとノアが高揚して目を見開いた。
それは誰なのかと、ふたりの双眸がザックに問いかける。
「ファーレンの宰相、マットス・クリンガーだ」
宰相といえば、王に命ぜられて国政を補佐する者。
声を潜めて尋ねるザックがすするのは、アーシェリアスの作ったトマトスープだ。
『あいつらに食わせてやれ』
売りものの状態は良く保つべき。
そんな頭領の思惑もあり、ザックとノアもアーシェリアスの作ったスープを味わっている。
仕事を終えたため牢に戻されたアーシェリアスは、ザックとノアを見て小さく頷いた。
「ここにいる盗賊は三十人くらいなのと、肝心の本はここにはないって。もう売られてしまったらしいの」
「えーっ、どこの誰にっていうのはわかった?」
ノアもまた声を小さくし、途中で「あー、おいしー」と暇そうにしている見張りの耳を誤魔化しつつ会話する。
「名前は知らないって。だけど、特徴を教えてくれたわ」
アーシェリアスはちらりと見張りに視線をやり、こちらに気が向いてないのを確認してから再び口を開く。
「王立騎士を従えた、ツリ目で癖の強い巻き髪。歳は四十代くらいのモノクルをかけた男性だったって」
牢へ戻る前、頭領から聞いた情報のままに伝える。
するとザックがスプーンを口に運ぶ手を止めた。
「……ひとり、思い当たる人物がいる」
アーシェリアスとノアが高揚して目を見開いた。
それは誰なのかと、ふたりの双眸がザックに問いかける。
「ファーレンの宰相、マットス・クリンガーだ」
宰相といえば、王に命ぜられて国政を補佐する者。