幼なじみと恋愛講座をご一緒に。
side樹
昨夜はへそ曲がりな花乃が逃げてしまい、中途半端で別れてしまったので花乃が大丈夫か気になり隣人のインターフォンを鳴らしたが、どうやら出勤したようで無反応。
(ったく、先に行きやがったな。)
そこまで先に進んでいないだろうとみて早足で駅まで行く。
花乃の足と俺の足じゃ長さも違うということは歩幅が違いということ。
すぐに追い付くだろうと前を見ると見慣れた後ろ姿が見えてきた。
ああ、いたいた!!見つけた。
「花乃!!
おはよう。
何で先に出た?」
歩幅の違いもあるが歩くのが遅い花乃にあっという間に追い付き腕を掴む。
なんで?と言わんばかりの驚愕ともいえる表情に笑いそうになる。
花乃の事なんてだいたい想像がつくんだよ。
「……。おはよう。」
「花乃!!何で答えられない?
変な噂話には耳を傾けるなと何回言えば理解するの?」
聞こえてない振りで黙りをつける。
そこまでして言えない内容ってなんだ?
誰と良い感じに見られたのか解らないが最悪だな。
「…………。」
「花乃がそのつもりなら俺にも考えがある。
何も話してくれないなら同棲にするからな!
別々に住んでる意味がないとみた。
花乃の両親だってそれを望んでるんだ。
昨夜だってお義父さんが心配で電話がかかってきた。
花乃がどうしても社会人として一人暮らしを経験したいからって言って半ば強引に勝手に決めたんだ。
花乃の両親はいまだに心配してる
同棲します。って言えば安心するんだぞ。」
「………。」
一瞬、こちらを見たと思えば睨んで何を言っても黙りならこっちだって仕掛けてやる。