青薔薇の至愛
「冗談冗談」と笑う朱ちゃん。
本当に冗談なんだろうか。
「他に不安なことは?」
言いながら、後ろから抱き締めたまま顎を私の頭頂部に乗せる。
「……泉先輩、あの彼氏とちゃんと別れられるかな」
「どうだろうな。ああいうタイプとは会わずに別れられたら一番いいんだろうけど、今日みたいに顔合わせたら何するか分かんねーよ。危ないから1人で行動するなとは言っておいたけど」
「……」
「どうした?」
あの大柄な男の人、怖かったのに。
怯まず拳までとめちゃう朱ちゃんって何者なんだろう。
私の見たことない朱ちゃんがいる気がしてソワソワしちゃう。
「朱ちゃんって、もしかして誰かと喧嘩したことある?」
「はー?ないない、俺弱いよ、殴られたらすぐ死ぬタイプ。」
「本当かな……」
「なに怪しんでんだよ。
つか優、風呂上がり超いい匂いすんじゃん」
「ひ……?!」