青薔薇の至愛
ポケットから取り出した鍵を指に引っ掛ける朱ちゃんに、目を輝かせる。
「……」
「……」
「朱ちゃん」
「ん?」
「着替えたいから、部屋から出ていってください」
言いながらビシッとドアを指差す私に、残念そうな顔をされた。
「いいじゃねーか、恋人だろ?
なんだったら俺も脱ぐか??」
「きゃー!!本当に脱ごうとしないで~、バカバカ!!」
「冗談だろ。そんな顔真っ赤にすんなよ優ちゃん。
それじゃあ先に下行って待ってるから早く来いよ~」
からかいに満足気な朱ちゃんがケラケラと笑って部屋から出ていった。
頬を膨らませながら着替えて、洗面所に向かって準備を終えリビングに顔を出すと、朱ちゃんがテレビを観ながら笑っているからこの家に居るのが当たり前のような存在に感じる。
前まで女の子として見てもらえてないんじゃないかって、不安だったけど。
小さい頃からお互いの家を行き来してる仲だからこそ、幼馴染みから恋人になっても、自然にお家に居てもおかしくないこの関係がすごく好き。
「朱ちゃんと幼馴染みでよかった」
「んー?なに急に、優ちゃんはほんと可愛いな~。
準備出来たなら出るか。
朝飯まだだし、飯食べに行く?」
「あっ、海見に行きたいから、コンビニで何か買って行きたい!」
「おーけーハニー」