青薔薇の至愛
玄関で一緒に靴を履いている時に、軽く触れあっている肩さえ愛おしくて。
ドアを開けて、隣同士の朱ちゃん宅の駐車場にはバイクが停められていた。
渡されたヘルメットを被って、後ろに乗る。
私が運転するわけじゃないけど、はじめて乗ったバイクに謎の緊張とワクワクが混じる。
「すごいすごーい!朱ちゃん本当に運転できるんだ~」
「まあな。
しっかりつかまってろ。」
「うん!」
ギュッと朱ちゃんのお腹に手を回して、言われた通りピッタリと体をくっつけると、前から咳払いが聞こえてくる。
「優乃~、そんなにピッタリくっつくなよ。」
「……?朱ちゃんが言ったのに??」
「いや、胸あたってっから。」
「ひょわ?!」
慌てて勢いよく体を離すと、グラついて後ろに倒れそうになったのをすぐに反応した朱ちゃんが振り向きもせずに反射的に腕を掴んで引っ張ってくれたおかげでバイクから落ちなくて済んだ。
「し、心臓とまるかと思った……朱ちゃんの反射神経の良さに感謝です」
「……俺の心臓もな。カッコ悪い助け方になったけど、優が怪我しなくて本当に良かったから何でもいいよほんと。」
「朱ちゃんはカッコいいよ??」
「お前にとってはな。」