青薔薇の至愛
胸を撫で下ろしてホッと一息つくと、朱ちゃんがちょいちょいと手を上下に動かして呼ぶから、何も考えず近づくと。
グイッと手首を引っ張られ、膝の上に乗せられた。
「優ちゃん、いつから誤魔化上手になったの?
俺の事よりお前の事聞いてんだけど??」
「な、なんのことだろう~」
「すっげぇ嘘下手だな、こんな下手な奴初めて見た。
愛らしいじゃないの」
「ひゃっ」
朱ちゃんのひんやりとした唇が、私の耳に触れて思わず声がでる。
「言わないとずっと離さないで朝を迎えることになるけど?」と、色気たっぷりの声が耳を刺激するから今夜は眠れそうにない。
……じゃなくて。
「離してくれなきゃ喋れないよ~!」
「喋れてんだろ、ワガママ言うな」
「だってだって、この体勢じゃ話しにくいし、朱ちゃんが近いと……」
意識してそれどころじゃない。
分かってないね、朱ちゃんは。
何度触れられても、慣れないもんなんだよ??
それどころか……鳴りっぱなしの心臓が限界だって、朱ちゃんに聞こえちゃうくらい大きな音を立ててるのに。
本人はいたずらっ子みたいに、分かってて私に触れてくるからタチが悪い。