青薔薇の至愛
無駄な抵抗はやめて、モソモソと何とか仰向けになると思ったより朱ちゃんの顔が近くて分かりやすくドキドキしてしまう。
私なんかより朱ちゃんの方が心配だよ……。
彼女がいる人は話すだけでいいって言っても、ホストするんでしょ?
……高校生の文化祭だから、私が想像してるホストとは違って、過度なスキンシップなんてないんだろうけど。
朱ちゃんが他の子の隣に座ってお話しするってだけでモヤモヤしちゃう。
「いいか優。100万回言ってると思うが、男は狼で……」
「朱ちゃんこそ、可愛い子来ても鼻の下伸ばしちゃ駄目だからね」
「は?」
「私なんかより、モテる朱ちゃんの方が心配だよ」
えいっ、と朱ちゃんの胸に軽く拳を当ててみて、分かりやすく嫉妬を表に出すと、急に全体重を預ける様に倒れれてきた朱ちゃんに今度こそ潰されてしまう。
「お、重いよ~」
「はぁ……可愛すぎだろ優。朱ちゃんはお前にしか鼻の下伸ばさねーよ。」
「可愛い子でも?」
「お前が一番可愛いからな、どーでも良」
「ふへ」
「変な笑い方すんな。いや、やっぱ変な男に絡まれないか心配だなこの子」
ため息を吐く朱ちゃんの苦労を知らないで、単純な私は恋人の言葉ひとつでニヤニヤと顔の緩みを戻すことができずに夜を過ごした。