青薔薇の至愛
数日後、文化祭の準備が着々と進んでいる中で、放課後教室の飾りつけをしていたところクラスメートに名前を呼ばれる。
「泉先輩って人が、朝井のこと呼んでるよ」
「えっ?!」
泉先輩が……?
なんでだろう。
泉先輩とは、あの元カレさんの件以来学校でだって顔を合わせていなければ、話してもいないのに。
朱ちゃんじゃなくて、私に用があるなんて……なんだろう。
先輩に呼び出されるなんて、今までなかったから変に緊張してしまう。
クラスメートにお礼を言って、恐る恐る教室から出ると泉先輩が立っていた。
「い、泉先輩お久しぶりです」
「うん、久しぶり。急に呼び出しちゃってごめんね」
「いえ……あの?」
「あっ、ごめんね!文化祭準備中忙しいところ申し訳ないんだけど……少し話せるかな?」
「……はい」
小心者の私は朱ちゃん以外の年上の人はすごく苦手で、怯えながら泉先輩についていく。
学校の中庭にあるベンチに腰掛け、数秒気まずい雰囲気が流れたけど、先に泉先輩が口を開いた。