青薔薇の至愛



泉先輩にやましい気持ちはないんだと思う。

だって、彼女の私に手紙を渡すよう頼むくらいだし……。


でも手紙の内容が気になるのも事実で、正直渡したくない。


でも紙袋を受け取ってしまった以上、押し返すのも性格が悪い様な気がして何とも言えなくなってしまう。


どうせなら、手紙のこと知らないまま、泉先輩が朱ちゃんに渡してくれれば良かったのに……。


嫉妬深い自分に嫌気が差して黙っていると、泉先輩がベンチから立ち上がる。


「それじゃあ朝井さん、またね」


「あっ……」


気まずい空気に居たたまれなくなったのか、泉先輩は逃げるようにこの場から去っていった。


ひとりベンチに取り残された私は、楽しそうに文化祭の準備を進めている生徒達を見ては深いため息を吐いた。



ここでジッとしている訳にもいかず、そろそろ教室に戻ろうと立ち上がろうとしたその時。




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