青薔薇の至愛
ガクブルと信じられない震え方をしている私を横目に、ご機嫌な桜木さんが力を抜いて今にもベンチから落ちそうな体勢で座っていると。
「桜木さん、見つけた……って、なんで優乃と居るんですか?」
見るからに桜木さんを探していたと分かる雪羽君が、上がっている息を整えるようにベンチの背凭れ部分に手を置いて休むと、私達ふたりを交互に見る。
雪羽君が来てくれてホッとしちゃう……。
桜木さんとふたりだと、なに話せばいいか分からないもん。
「雪ちゃんおつー。たまたま優乃ちゃん見かけたから、からかおうと思って」
「あんたそんなんだから嫌われるんですよ」
「俺別に嫌われてないし」
「自覚ないのか、うわー。」
「雪ちゃん……?あまり生意気言ってると文化祭の当日メイド服姿見に行っちゃうよ?」
「すみませんでした」
クラスでは高嶺の花で近づきにくいとまで言われている雪羽君も、桜木さんの前では借りてきたチワワの様に吠えるが最終的に従ってしまう始末。