青薔薇の至愛
「優~~可哀相に、俺がいなくて怖かったよな~~」
ガバッと凭れかかるように私を抱き締める朱ちゃんに、公共の場だと恥ずかしくなって手で押し返そうとするけど、力が強くてビクともしない。
泉先輩から貰った紙袋に入っているお菓子を守りながら、朱ちゃんに抱き締められていると、胸板に頬が当たっていい匂いもするし、そろそろ限界が近づいてきた。
「朱ちゃん離れてよ~~、桜木さん達も見てるんだよ?」
「見せとけ見せとけ。ただでさえ文化祭の準備でお前といる時間削られて優ちゃん足りてないのに、今離れたら死ぬ」
「でも、あの。これ以上力を込められるとお菓子が潰れちゃう……」
「お菓子??」
抱き締める力を緩めながら、下を向く朱ちゃんが紙袋を見ると、隠しきれていない不機嫌オーラを放ち、次第に顔の影が濃くなっていく。
「おい、優。まさか男から貰ったわけじゃないよな?」
「えっ、ちがっ」
「ふーん、優乃ちゃんモテるんだ」
「可愛いもんな、優乃」
桜木さんと雪羽君絶対面白がってる。
ふたりのせいで、朱ちゃんの嫉妬に火がつく。
ひどい、ひどすぎるよふたりとも……。