青薔薇の至愛




「優、そのお菓子返してこい。
 『大好きな朱ちゃんがいるので受け取れません』って。」


「本当に違うの朱ちゃん。
 これは泉先輩から貰ったの」


「ん?泉から??なんで優に」


「この前喧嘩に巻き込んじゃったからだって。」


「ふーん、アイツいい奴だな」



女の人からだと分かって、ホッとする朱ちゃんが水を浴びるかの様に嫉妬を鎮火させた。


今このタイミングで泉さんから朱ちゃん宛に預かった手紙を渡せばいいのに……。


どうしてかな?手が動かない。


俯いて、ギュッと紙袋を握りしめると、「優?どうした??……急に顔色悪くなんじゃん」と私の額に手を当てて熱の確認をするから、余計に罪悪感であげた顔をひきつらせる。



「な、なんでもないよ朱ちゃん。ごめんね」



「心配だな。気分悪いなら早めに帰れよ。
 つか今から送るか?歩けないなら背負ってでも連れてってやるよ。」


「そこまでしてもらわなくても大丈夫だよ……!それに元気だもん。
 私文化祭の準備があるからそろそろ戻らなきゃいけないけど、朱ちゃん達は結構進んでるの?」


「あー……まあな。どこかの誰かさんは文化祭当日サボる気満々らしいけど」



チラッと朱ちゃんが桜木さんを見る。


どこから取り出したのか分からない野菜ジュース(苦味100%)をストローで飲んでる桜木さんはすごく自由人だと思う。



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