青薔薇の至愛





どうしてだろう……桜木さんの言葉に素直に頷けないのは。



「つか、本当は俺が優乃に弁当渡すよう頼まれたんですけどね。」


机に突っ伏して寝ていた雪羽君は、私たちの会話が聞こえていたみたいで、起き上がり口を挟んだ。



「なぁに、雪ちゃん。
 自分が朱光から信用されてないからって、不貞腐れて~」


「別に不貞腐れてはいませんけど……あんたが『雪羽に弁当持たせたら、それを口実に優乃ちゃんに迫るんじゃないの。そう思わない?朱光』とかワケわかんないこと言うから、あれから朱光さん、牙見せて俺の事警戒してるし。
 つか、どういう風の吹き回しであんたが人に弁当なんか届けてんだよ」


「だってー、あの優乃ちゃん大好き朱光が自分から届けにいかないってことは、この二人に何かあったって事でしょ?朱光をからかうにはもってこいの話題じゃん。
 ねぇ、優乃ちゃん。」


「うっ」



す、鋭い……。


多分バレてるとは思うけど、でもでも、桜木に言ったらからかわれそうで言えない……。



分かりやすくあたふたし始める私に、桜木さんは「ふーん」と不敵な笑みを浮かべるから、それだけで縮こまってしまう。




「優乃ちゃん、ちょっとお兄さんが相談に乗ってあげようか?」


「えっ」


「大丈夫、僕優しいデスカラ」




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