その瞳に黙らされる。


「さんきゅ、あとで風呂入ってから貼るわ。」

「今その見えてる傷が痛々しいから渡してるの、アイドル様の綺麗な顔に傷が残ったらどうするの?」



話すようになってそれなりに時間が経ったとは言え、今も彼の美しさを目の前にすると息がつまりそうになる。

ガラス玉のような瞳に見つめられると、思わず緊張して鼓動も早くなるのがわかる。



そんな美の体現者であるような彼だが、話すと他の男子と同じような表情の中に、時々いたずらっぽさをみせるのだ。



「せっかく美優にもらったんだから、できるだけ長く貼ってたいじゃん。」



ほらまた。

思わせぶりなセリフと一緒に目元をくしゃりとさせていたずらな表情を見せる。



こうやって彼の世界に引き込まれる。



彼は自分の人気をわかっているからか、帰りはいつもの路線に着くまでは声をかけてこないし、朝も乗り換える時にはかすかに笑顔を向けてそっと離れていく。


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