転生悪役令嬢のお目付役
大雅side:お目付役に選ばれて
「危ない!」
車に轢かれそうな猫を助けようと、飛び出した彼女。咄嗟にそのあとを追えたのは、常日頃から彼女の行動を視界の端に収めていたからで。
そして、物語のヒーローみたいに間一髪のところで助けられないのは、どう転んでも俺が主役の器じゃないからだ。
次に気がついたときには、真っ暗ななにもない空間。痛みも感じずにただひとりでいるのは、俺の人生の結末が訪れたからなんだなと、どこか達観した気持ちでいる。
感傷に浸りかけたところへ、状況に似つかわしくない声が響く。
「すまんなあ。今日は立て込んでてのう」
現れたのは、まばゆい光に包まれた白い着物の老人。あからさまに神様だ。『善い行いをしたあなたは天国行きですね』と言われるのだろうか。
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