転生悪役令嬢のお目付役

 次にワイアット。護衛というだけはある。いかつい体つきで、短髪黒髪という男らしい出立ち。顔さえも角張った四角い輪郭。年齢も上なのだろう。全体的にダンディだ。

 俺としては自己紹介も兼ねた各々との確認を済ませた頃、ジュリアン嬢の到着の声を聞く。

 それだけでザワザワと騒がしくなる。

「あのジュリアン嬢が、もう来たのか?」

「こんなに早く?」

「なにかの手違いなのでは」

「シッ。静かに。みえているのだから、耳に入る」

 よほどの曲者だったのだろう。王子の呼び出しに、素直に応じるだけでこの言われ様。

 未だに信じられない。天罰として悪役令嬢に、というのなら多少は納得がいく。
 それを自ら志願して、品行方正な篠崎さんがわざわざ恨まれ役を買うだなんて。
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