転生悪役令嬢のお目付役
背筋を伸ばし、褒められ待ちをしていると、神様はしみじみと言う。
「なんというか、想像力の欠如にもほどがあるのう」
「はあ」
白髭を蓄えている老人は顎髭を撫でながら、なおも続ける。
「ワシに姿形はないから、見ている人の思い描いた通りに出てくるんだがね。ベタにもほどがあるじゃろ」
神様は自身の身なりに視線を落とし、それから「やれやれ」とため息を吐いている。
だからいかにも神様風な老人が現れたのだと納得しかけて、ちょっと待てよと反論する。
「俺に文句を言われても」
「まあまあ。そう目くじらを立てなさるな」
神様は目尻を下げ、宥めるように言うけれど、こっちだって最期のときくらい心穏やかに過ごしたい。