転生悪役令嬢のお目付役

 ノートも引き出しにしまい、近くの姿見に映った自分を眺める。王子らしい佇まいに一瞬怯むものの、まじまじと眺めてから思わず唸る。

 よくできている。

 髪の毛は美しいプラチナブロンドに、目は碧眼。それが自分の顔に、しっくり馴染むとは思わなかった。

 現実世界の俺との違いは、髪色と目の色だけ。それだけで不思議と王子に見えるのだから、錯覚とはすごい。

 背はもともと高く、目立つのが嫌で普段は猫背だった。だから実際の身長を聞かれるといつも驚かれる。

 この世界で王子として生きていくのなら、猫背でいるわけにはいかない。背筋を伸ばし、キリリとした表情を作ってみる。

 吹き出しそうになって、感心もする。環境が人を作るとは、本当だな。こうしていると、本物の王子に見えなくもない。
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