転生悪役令嬢のお目付役
仕方なく黙っていると、神様は指をパチンと鳴らす。目の前に画面が現れ、靄がかかった映像が次第にクリアになっていく。
どこかの病室が映り、見慣れた顔が現れる。包帯を巻かれ、いくつもの管に繋がれた俺。それから、画面は切り替わり同じように痛々しい姿をした彼女。
俺、柏木大雅と彼女、篠崎茉莉香とは同じ職場の同僚だ。勝手に親近感を覚え、密かに想っている相手。
例え俺の体が朽ちたとしても、自分が起こした行動に後悔はしていない。けれど、せめて篠崎さんだけは助けたかった。そこさえも格好がつかないのは、なんとも俺らしい。
「篠崎茉莉香さん。彼女には、先にここへ来てもらっておる」
「そうですか」
心の清らかな篠崎さんなら、早々に天国行きを決めたに違いない。確固たる自信で思い描いていた想像は、思いもよらない角度から崩れ去る。