転生悪役令嬢のお目付役
フィリップ王子side:策略

 ジュリアン嬢と別れたあと、己の大胆な行動に自分自身が驚きを隠せない。

 その行動は、まさしくフィリップ王子そのものだった。

 もしかしたら、本当にフィリップ王子として体に染みついた常日頃の所作が出たのか。それとも同じ顔の王子がそうであったように、素の俺は自信家でナルシストなのか……。

 そして自分の戸惑い以上に、周りの反応が凄まじい。

 一瞬のうちに噂は広まった。
 お陰でスチュアートの機嫌が悪い。

「我が君主は雷に打たれ、自制を失ったらしい」

 腕組みをし、苛立ちが抑えられないのか、執務室を歩き回っている。

 体調は順調に回復し、以前と同様の過ごすことで思い出すきっかけになればと、執務室に籠るようになった。

 王政に関わる報告や、領地についての問題点などの話し合いにも参加している。
 それらの仕事の合間に、言わずにはいられない小言に付き合わされる。
< 33 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop