転生悪役令嬢のお目付役

 日に日にひどくなる小言。あまりの言われように、開き直って言う。

「自制心が無ければ、あれで済まないかもしれないな」

「フィリップ王子!」

 普段から鋭い目つきを、更につり上げるスチュアートに苦笑する。

「冗談だ。多少、調子に乗った自覚はある」

 全てが許される王子というのも、困ったものだ。そのせいで自分の器以上に気が大きくなり、暴走につながったのだと心の中で言い訳を思い浮かべる。

「フィリップ王子がジュリアン嬢に心酔なさっては、世も末だと……」

 こめかみを押さえ、いかにも大惨事だと訴える。ジュリアン嬢は、よほど悪評が高いとみえる。
< 34 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop