転生悪役令嬢のお目付役
けれど日頃から間近で見てきたであろう、この子の意見を聞いてみたいと思った。
「どうして寂しいと思うのか、聞いてもいい?」
息を詰まらせる侍女に、とんでもない申し出をしてしまったと気づく。私は悪役令嬢だ。侍女に意見を聞くだなんて。
「フィリップ王子様が雷に打たれて、ご様子が変わられたそうで……。もしかして、お嬢様も……」
忘れていたフィリップ王子の姿が一瞬で頭に浮かび、顔が熱くなる。頬に添えられた手。唇をなぞる指先。
「ち、違うの。そうよ。フィリップ王子は雷に打たれ、今までの王子とは……。そうだわ。そうよ」
私は名案を思いつき、侍女の両手を握る。ギョッとした彼女を尻目に、私は力強く言う。
「あなた、私に悪役令嬢たるものを教えてくださらない?」