転生悪役令嬢のお目付役
「それで、彼女は『乙女ゲーム』の世界に転生した、とおっしゃるんですか?」
『乙女ゲーム』いわゆる恋愛攻略ゲームなのだろうと、理解が追いつく。彼女のイメージからは、いささか意外だ。
「そうじゃ。彼女には、神様に相談できるノートを渡してある。それがこれだ」
なんの変哲もないノートが、どこからともなく現れ渡される。中をパラパラめくっても、特に変わった様子はない。
「普通のノートに見えますね」
裏返してみても、表と同じ落ち着いた茶色の裏表紙と、グレーの背表紙。至って普通のノートだ。
ひと通り見てから神様に返そうと差し出したノートを、神様は一向に受け取らない。
「きみがアドバイスしなされ」
「……はい?」
アドバイスって、なにが?
神様は流暢な日本語を話しているはずなのに、全く理解不能な言語を話しているようにさえ思える。
『神様に相談できるノート』誰が神様だって? 誰がアドバイスだって? 神様ってアルバイト制OKなわけ?